乃木坂46との棲み分けはどうするのか?

伊藤 欅坂46の曲「サイレントマジョリティー」を聴いて思ったのは、これって乃木坂46がこれから進むべくサウンドと世界観じゃないの? それを欅坂46でやっちゃうんだってこと。しかも同じレコード会社だから、ディレクター視点で今後この2グループを考えると色々な苦労が想像できます。

山口 どうなんでしょうね? 乃木坂46との別コンセプトが打ち出せているのかと思ったら、特にないんですね?

伊藤 半年前には全く違ったデビューのイメージがあったような気がするのですが、紆余曲折あって今に至ったんでしょうね。まぁ、これだけグループが増えてきたので棲み分けは難しくなっていると思うし、いくら棲み分けできても聴き手が受け付けない音楽では仕方ない。それに、秋元康が考える未来のアイドルこそ、この曲が表現していることなんでしょうね。女性アイドルなのに同年代の女子に向かって歌っているという感じです。

山口 その中で、同性からの支持というのも意識しているでしょうね。

伊藤 はい、E-girlsなどLDH系女性グループも同性から支持されていると思うけど、彼女たちも彼女たちのファンも“アイドル”という言葉は使わない。ダンスグループとかアーティストとか、アイドルとは一線を引いている。だけど欅坂46は王道アイドルとして同性をマーケットにしている。それこそはAKB関連グループとの棲み分けで、だけどそのマーケットを開拓しつつあった乃木坂46とはもろ被り。どちらかが勝ち残るのか? 共倒れするのか? 両方が次のアイドル界をリードするのか? 面白くなりそうですね。

山口 AKB48への対抗馬として打ち出された乃木坂46がメインストリームになってしまったので、そのライバルという位置づけが必要なんでしょうね。そこも自分たちで仕掛ければ、仮にどっちかが負けても痛手は無いし、競いあうように両方伸びてくれたらパイが広がるというのがAKB48プロデュースの基本戦略ですね。

伊藤 策士ですね。そして今回の「サイレントマジョリティー」は乃木坂46の楽曲に比べてもより攻めているというか、歌詞もかなりエッジが効いています。「ルールを説くけど その目は死んでいる」「大人たちに支配されるな」「声を上げない者たちは 賛成していると…」「この世界は群れていても始まらない」など、社会と大人に対するアンチテーゼと“群れるな!”というパンキッシュな主張をしている。だけどMVを観ると、揃いの制服と軍隊を思わせるような統率のとれたダンスは、なんとも皮肉っぽい。でもそれが生むアンバランスさはクールで、まさに同世代・同性のシンボル的存在をこの作品で表現している。

山口 僕は作詞家としての秋元康は好きですよ。傑作がいくつもありますし、多作でもクオリティが保たれているのは素晴らしいですよね。

2016.03.30(水)
文=山口哲一、伊藤涼