著者のエッセイストとしての才能が開花

本文で紹介した3編の他、東日本大震災後のスパリゾートハワイアンズ、福島と仙台の街へと足を運んだ「おまけ」の短編も収録されている

 松嶋菜々子主演のドラマ「家政婦のミタ」が大好評のうちに先日幕を閉じたが、家政婦といえば、彼女のことも忘れてはいけない。そう、猫村ねこである。

 一介の猫でありながら、家事の腕前と持って生まれた人柄(猫柄?)で人間の家庭を救う彼女が大活躍する漫画『きょうの猫村さん』は、独特の味わいが支持されベストセラーを記録し続けている。現在は人気も衰えぬまま5巻までが刊行され、その他に、外伝ともいうべき『カーサの猫村さん』も2巻まで発売されている。

 このたび、その著者、ほしよりこさんによる初めての絵日記『山とそば』が刊行された。

 この本は、関西在住のほしさんが、友人知人や担当編集者たちと繰り広げた日本各地への旅の模様を、絵と文章の両方を鉛筆一本で描くおなじみのタッチで記録したもの。作家のいしいしんじさん、エッセイストの酒井順子さん、スタイリストの伊藤まさこさんなど、著名人たちもその素顔を垣間見せてくれるのが楽しい。

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2011.12.22(木)